【ネタバレ解説】『夜空の呪いに色はない』奪われる魔法。時任にとっての魔法とは?

書評
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『夜空の呪いに色はない』 河野裕 著 あらすじ&解説

郵便配達人・時任は、階段島での生活を気に入っていた。手紙を受け取り、カブに乗って、届ける。七草や堀を応援しつつも、積極的に島の問題には関わらない。だが一方で、彼女は心の奥底に、ある傷を抱えていた……。大地を現実に戻すべく、決意を固める真辺。突き刺さるトクメ先生の言葉。魔女の呪いとは何か。大人になる中で僕らは何を失うのか。心を穿つ青春ミステリ、第5弾。

新潮社公式ホームページ(最終閲覧日5月29日)
https://www.shinchosha.co.jp/book/180103/

捨てられた人々の暮らす不思議な島、階段島を舞台に高校生たちの一風変わった青春を描く「階段島シリーズ」の第五作です!

第一作『いなくなれ、群青

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第四作『凶器は壊れた黒の叫び

https://soneyu.com/kyoukihakowareta/

そしてシリーズ最終作の『きみの世界に青が鳴る』と続きます!

【ネタバレあり】『夜空の呪いに色はない』【解説】

ついに最終作一歩手前まで来ました、「階段島シリーズ」!

『きみの世界に青が鳴る』へと続く、とてもしっくりくる終わり方だったと思います。

クライマックスに向けてのお膳立てのようなお話でした。

どういう結末を迎えるのか、非常に楽しみです!

大地の捨てたもの

ずっと、大人になろうとしていたんだと思う。現実でも、階段島でも。彼が魔女を探していたのは、それが理由だったんだと思う。

大地は、母親に嫌われたくなくて、できるなら愛されたくて、子供であることを捨てようとしている。

『夜空の呪いに色はない』 著 河野裕

大地が捨てようとしていたのは、「子供の自分」だったんですね。

なんだかとても納得できる答えだったように思います。

大地のような賢く、聡明な子が、母親との関係を再構築するために、「母親を嫌う自分」でも「母親を愛する自分」でもなく「子供である自分」を捨てようとすることは、妙にしっくりくる答えでした。

堀が不幸であることを認めた理由

「私が、魔法を奪われたのは、七草君がいなくなったからじゃないんです。本当に、違うんです。私が、悲しかったのは。私が、自分を不幸だと信じた理由は。貴女が魔法を否定するために、私から魔法を取り上げようとしたからです」

『夜空の呪いに色はない』 著 河野裕

堀が時任に魔法を奪われたのは、「魔法を好きになってほしかった時任に、魔法を否定されたか」だったんですね。

魔法に絶望した時任に対して、堀は魔法を好きになれると信じています。

この互いに不幸を証明し合い、魔法を奪い合えるような関係を、七草は「美しい関係」と表現しています。

僕としては、「美しい関係」と思える七草の心の方が詩的で美しいと思いますが。

でも言われてみると、そう見えるような気がします。

互いの不幸の根底にあるのが、両者とも思いやる気持ちなんですよね。互いを思いやりながら、不幸を証明するってなんだか詩的な気がします。

七草の決意

だって、夜空の呪いに色はない。すべての色を消し去る、深い闇に見えても、か細い光さえかき消せはしない。その程度のものなんだ、本当は。だから星明かりの一筋は、夜空の先の景色に届く。きっと、僕たちは、あの光みたいに足を踏み出すことしかできないんだ。

『夜空の呪いに色はない』 著 河野裕

本当に深くて良い言葉だと思います。

僕たちはいつだって決断を迫られていて、後悔したりなにかを捨てたり責任を背負ったりすることは、とても怖いことのように思います。

けれど、本当はそんな闇だって光の一筋もかき消せないほどのたいしたことのないもので、僕たちは小さな一歩を踏み出していくしかないのだと、作者は伝えたいのだと思います。

まとめ

ここまで『夜空の呪いに色はない』の書評をしてきましたがいかがだったでしょうか?

『いなくなれ、群青』の実写映画化も決まり、もっと多くの人に「階段島シリーズ」を読んで欲しいですね。本当に良作だと思います!

同じ青春系の小説でおすすめの『青い春を数えて』の書評もしていますので、よかったらそちらも是非ご覧ください!

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