【解説】『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』現実の七草と真辺の物語。それは変わろうとする二人の物語。

書評
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『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 著 河野裕 あらすじ&概説

七草は引き算の魔女を知っていますか――。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女? ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。

新潮社公式サイト(最終閲覧日5月21日)
https://www.shinchosha.co.jp/book/180056/

『サクラダリセット』の著者河野裕さんの、心を穿つ新時代の青春ミステリ!

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続編は、

凶器は壊れた黒の叫び』

夜空の呪いに色はない』

『きみの世界に、青が鳴る』

と続きます。

【ネタバレあり】『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』【解説】

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』は、端的に言うと七草が自分の気持ちを恋だと認識するまでの物語です。

少し時系列が分かりづらいので、整理したいと思います。

時系列の整理

8月25日:七草、公園で真辺と出会う。「なぜ二年前笑ったのか?」の質問に答えられず。

同日:真辺、相原大地に会う。

8月28日:七草、魔女と電話で会話し自分の一部を捨てる。

9月25日:七草、真辺と公園で再会。

10月の初め:七草、秋山さんと会う。

11月15日~11月24日:真辺、自分の一部を捨てる。同じく、大地も自分の一部を捨てる。

2月10日:大地、家を出る。魔女との邂逅。そして、安達も自分の一部を捨てる。

七草の捨てたもの

七草の捨てたものは、「真辺への信仰」でした。

「僕はその星の輝きを愛していたし、信仰していた。でも、ちょっとした事情があって、信仰の方を捨てることにした。事情を説明するのは、なかなか難しい。でも無理に言葉にするなら、信仰というのは、普遍のものにしか向けられないのだと思う。少なくとも僕はそうだった。信じる対象が変わってしまうことが僕には許せなくて、でも許せないことが問題なんだろうと思ったから、捨ててしまうことにした」

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 著 河野裕

簡単に言うと、七草は、真辺が変わろうとしていることを受け入れられなくて、でもそれは歪んだことだと思ったから、その感情を捨てたのです

感情を論理的に捉えるとこが、非常に七草らしいなと思いました。

真辺の捨てたもの

真辺が捨てたのは「七草に甘える自分」でした。

「そして、私は七草を捨てた。君に甘える感情を一度は綺麗に捨ててしまった」

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 著 河野裕

真辺は、今まで七草に頼ってきたことに気づきます。そして、このままじゃいけないと思ったから、七草に頼る自分を捨てて、自分の力で問題を解決できるようになろうと決意します。

しかし、相原大地の件でも結局七草に頼ってしまい、個人の力の限界と、どこまで他者に寄りかかるべきなのかという線引きが分からなくなり、深く傷つくことになります。

大地の捨てたもの

大地の捨てたものは「母親を嫌えない自分」です。

大地は幼いながらも、一度母親から距離を取らなければ、正常な関係が築けないと考えたのです。

僕も、相原大地は本当に賢い少年だと思います。客観的に自分と相手の感情を考えることってなかなかできることじゃないです。母親と自分の関係性なんて、特にですよ。大地が、これから何を考え行動していくのか、非常に楽しみです。

安達の捨てたもの

安達の捨てたものは「魔女の自分」です。

これに関してはまだ謎が多くて何にも言えないですね。

安達が魔女とは一体どういうことか? 引き算の魔女との関係性は? そして、これから階段島でどんな役割を果たすのか? 非常に先の展開が楽しみです!

七草の恋

古い言葉は、遠いところに伝播している。きっと感情も同じように。今、僕の手元に、幼かった頃の純真な好意はもうない。どうにか思い出そうとしたその赤には、彼女の涙が重なって、くすんだ色をして見える。それでも。汚れた赤を恋と呼ぶんだ。きっとそうだと信じるんだ。だって、ほら、こんなにも、彼女の涙を拭き取りたい。

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 著 河野裕

何ですかね。この詩的な文章は。「汚れた赤」という表現が秀逸すぎて、惚れました。

僕思うんですけど、七草は将来、詩人か小説家になるべきです。こんなに「恋」を詩的にちょっと回りくどく表現できる人はそうそういないと思います。

まとめ

ここまで『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』の書評をしてきましたがいかがだったでしょうか?

「階段島シリーズ」の第一作『いなくなれ、群青』の書評記事はこちらから!

https://soneyu.com/inakunaregunnzyou/

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