圧倒的冒険小説!【書評】『たったひとつの冴えたやり方』少女とエイリアンの決死の決断とは?

SF

こんにちは!希望に溢れる大学生Soneyuです!

今回も一冊読み終えたので、ネタバレなしの評価・感想と、ネタバレありの考察・書評に分けて書いていきたいと思います!

どうぞ、最後までお付き合いください!

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基本情報(あらすじ)

『たったひとつの冴えたやり方』

<著者ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(アメリカ合衆国の女流作家)

出版年>1985年(初出), 2008年(早川書房・改訳版)

あらすじ

やった、ようやく宇宙に行ける! 

十六歳の誕生日のプレゼントに両親からもらったスペースクーペを改造し、そばかす娘“コーティー”は憧れの銀河へ旅立った。

冷凍睡眠からさめ、小さなエイリアン“シロベーン”とも意気投合したが……

元気少女の愛と勇気と友情を描く感動篇 !

こんな人におすすめ!

  • 冒険小説が好きな人
  • 宇宙SFが好きな人
  • 時間をかけずにサクッと読みたい人

評価【ネタバレなし】

艇に乗り込むが、自分が陽気なハミングをはじめたことにも気づかない。さあ、やるぞ!いよいよ、ほんとのほんとの旅の始まり!

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著 『たったひとつの冴えたやり方』

率直な感想

言わずと知れたSF名作ですね。

僕もずっと読みたくて。

この間やっと読めたんですけど、なんかイメージと全然違いました

というより、勝手に先入観を持っていただけなんですけど。

名作って聞くとなんだかお堅いような、ちょっと文学じみたレトリックな印象があるじゃないですか。

だから、『たったひとつの冴えたやり方』もそういう本格SFのような、読むのに時間がかかっちゃうタイプなのかな、と勝手に思ってて。

でも、実際読んでみると、全くそんなことないんです!

ライトノベルくらいの軽さで読めちゃって。

ページ数も180ページくらいで、ちょっと衝撃でした。

もちろん内容はすごく面白かったんですけど、僕の中でSFの名作っていうと

地球の長い午後』とか『虎よ、虎よ!』とか、あとは『星を継ぐもの』なんかのイメージが強くて、

名作と呼ばれるものの中にも、いろいろな種類があるんだなと実感しました。

やっぱりこういう発見があるから、読書はやめられないのです。

さて、ここから内容の評価に入っていこうと思います!

キャラがいい

この小説の大きな魅力のひとつといえるのが、

主人公の女の子“コーティー”のキャラでしょう。

この女の子すごいんですよ。

困難な状況でもくじけない強さと、

視野を広く持ち、客観的な判断をする冷静さ

苦しいことも笑いに変えるユーモアのセンス

友達思いの優しい心、人一倍の知的好奇心、などなど。

挙げだしたらきりがないほど、魅力がたくさんあるんです。

読んでいて、“コーティー”はひとつの少女の理想の形なのでは?

と思いました。

世の中の少女よ、かくあらん!

みたいな。

また、登場人物も少なめで、ほとんど“コーティー”と“シロベーン”しか出てこないんです。

それが、180ページという比較的短い物語にまとまりを持たせていたと思います。

いや、ほんとにSF初心者の方にも自信をもっておすすめできる一冊です!

なんなら、小・中学校とかの教材に取り入れてもいいんじゃないかってくらい。

今思ったんですけど、こういう名作を国が買って国民に支給するみたいなシステムができたら素敵じゃないですか?

本に囲まれた人生を送りたいものだ、と最近よく思います。

「少女の冒険の物語」

本作を一言で表すとするなら、

少女の冒険の物語」だと思います。

冒険というより人生に近いかもしれないけど。

「冒険」のなにが面白いかって、ただ旅をして目的地にたどり着くことじゃないんですよね。

その道中になにが起きるのか、どんな「危険」があるのか、または「危険」をどう回避するか、が面白いんです。

その点でいうと、

この『たったひとつの冴えたやり方』は、バランスが最高でした

“コーティー”の旅がうまくいってほしいっていう思いと、

危険にハラハラする気持ちや、次はどんな危険が待っているんだろうっていう期待のバランスが。

刺激的なスパイスのように、終始、危険とか不安を感じるような要素が混じっていて、

「次はどうなるんだ」とページをめくる手が止まらなくなりました。

「冒険とはこうでなくっちゃ」と、著者の思いを感じた気がしたんですけど、気のせいかもしれません。

書評・考察【ネタバレあり】

ここからは、作品の深い部分を2つのポイントに絞って考察をしていきたいと思います!

知ってるわよ、あたしだって。あの大きな黄色の太陽がかなり熱くなったのはね。でも、心配しないで。あのそばを通過すると、旅がまる一行程も短縮できるの。これがたったひとつの冴えたやり方。ハン・ルー・ハン、だれか聞こえる?ほら、いま船首のブラインドをおろすから。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著 『たったひとつの冴えたやり方』

共存の関係

“コーティー”の友達の“シロベーン”は、脳に寄生するタイプのエイリアンでした。

行方不明だったボー二イとポーの船から送られてきたメッセージパイプを、“コーティー”が受け取ったとき、そこに付着していた小さなエイリアンが少女の脳に寄生したのです。

しかし、幼いイーアが“コーティー”に寄生するのを防いだことで、結果的に“コーティー”の命を救ったことに。

そこから、この二人の冒険の旅が始まっていき、彼女たちは友達としての関係を築きます。

寄生生物と人間の共存は可能なのかと思われましたが、そうは問屋が卸さないわけです。

“シロベーン”が、“コーティー”の頭を食い散らかし胞子を作りだすという原始的な欲求を抑えきれなくなり始めていて、二人は絶望的な状況に追い込まれていきます。

それは、自分の命だけでなく、人類全体に関わる問題でした。

そこで、“コーティー”は「たったひとつの冴えたやり方」として、太陽に特攻してこれ以上の被害の拡大を防ぐという少女の決意にしては重過ぎる、決断をします。

僕は、この小説を読んでいて、

地球の長い午後』の“アミガサ”(主人公に寄生するキノコ)を思い出しました。

基本、人間が寄生生物と関わっていい結末は迎えないような気がします。

なんだか、人間が、根源的に寄生生物を嫌悪しているようにも感じました。

まあ、確かに脳に侵入されるって考えるとゾッとしますし、完全にプライバシーの侵害ですからね。

訴えようにも訴えられないというね。法整備をなんとかしろと。

そんなことより、重要なのは、これから先同じような状況にならないとも限らないということだと思います。

一番近いのが、AIと脳内で会話したりですかね。

これだって寄生されているようなもんでしょう。

それか、もしかしたらほんとうに宇宙で寄生生物が発見されるかもしれない。宇宙は広いですから。

こんな風に、SF小説って未来を見据えるきっかけを我々に与えてくれるんですよね。

イマジネーションの力で、まだ見ぬ未来の形の一部を見せてくれる。

小説は、偉大だと僕は思います。みんなも思ってるか笑

本作のテーマ

前述で、この小説を一言で表すなら、「少女の冒険の物語」だと言いましたが、

僕は、その裏に「好奇心の危うさ」を感じました。

主人公の“コーティー”が宇宙を駆ける旅に出たのは、好奇心の強さによるところが大きいと思います。

つまり、逆に言えば、その好奇心が己の身を滅ぼしたとも言えます。

まだ15歳の前途有望な少女が、好奇心に身をまかせて行動した結果が、太陽への特攻です。

少女の勇敢な行動が、人類を救ったと、喜んでいいものなのか?

“コーティー”は最後、自分の死を悟り後悔したのか?

後悔していなかったら、それでいいのか?

僕は、この結末に違和感を覚えました。

少女が一人死んでいるのに、それが感動というか、美談のように語れていたからです。

なんなら、最後の最後で「これがほんとの、たったひとつの冴えたやり方だ!」みたいな、

“コーティー”が特攻する以外の、どんでん返し的な結末があるのかと期待していましたから。

だから、「もっと冴えたやり方はなかったのか」と、読み終わった後考えたりもしました。

結局ほかのやり方は思いつきませんでしたが。

でもですね、だからこそ、著者があの結末を選んだのには意味があると思うんです。

つまり、 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア からのメッセージ。

好奇心は、行動を促す原動力になるけど、

破滅をもたらすきっかけを作ることもある。

だから、使い方には気をつけなさい。

僕は、あの感動の裏にこんなメッセージがあるように感じました。

まとめ

ここまで、『たったひとつの冴えたやり方』の書評をしてきましたが、いかがだったでしょうか?

気になった方はぜひご一読を!

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