【感想・評価】額賀澪『タスキメシ 箱根』胸熱スポーツ小説!!箱根駅伝が楽しみで楽しみでしかたなくなる一冊!!

スポーツ

こんにちは。

なんだか鬼滅の刃がすごいことになってるそうで、早くジャンプを買いに行かねばと焦っている、オオソネです。(2019年11月11日現在)


さて、今回紹介するのは、額賀澪著『タスキメシ 箱根』

この本を書いている額賀澪さんは、あの芸大の文学部を卒業した純度100%の小説家です。

最近だと、『競歩王』とか、映画『空の青さを知る人よ』のノベライズも書いてますね。

(『空の青さを知る人よ』はマジで読みたい!)

そして、

本作『タスキメシ 箱根』は、高校の課題図書にも選ばれた『タスキメシ』の続編です。

とはいったものの、

前作『タスキメシ』とはテイストが全く違うんですよ。

前作はいかにも課題図書に選ばれそうな、青春期の少年少女たちの複雑な情動を、“長距離”と“料理”を通して描いたって感じですが、

本作は、がっちがっちの箱根駅伝!

スポーツです!!

「胸熱スポーツ小説」というこの言葉のどれほど似合うことか。

箱根駅伝に出られなかった主人公と、悲願の箱根駅伝出場を目指す大学生たち。

「夢」と「努力」、「現実」と「諦め」、「スポーツ」と「料理」

この、熱く燃えるような展開の中で、大人が直面する現実がちゃんと壁として阻んでくる感じが、マジでたまりません。

そこらへんのスポ根漫画よりはるかに面白い、胸熱スポーツ小説!

「小説で熱くなったことない」っていう人にこそ、おすすめしたい一冊です!

【感想・評価】額賀澪『競歩王』王道の青春と、少しの恋と、競歩への情熱が詰まった物語。
この記事では額賀澪『競歩王』の感想をネタバレなしで書いています!どんな人におすすめか、実際に購入するほどの面白さはあるのか、本作の魅力をサクッと紹介します!まだ読んでいない人、読もうか迷っている人はぜひご覧ください!!
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感想・解説【ネタバレあり】

超興奮の箱根駅伝

箱根駅伝マジで見に行きたくなりますよ!

録画したガキ使なんて見てる場合じゃないんです。

たった数ページの攻防で何度も泣きそうになりましたもん。

というか泣きました。

そんな熱い展開を繰り広げたのは、紫峰大学の4人の選手。

栗原、森本、葉月、そして主人公の千早

千早の分は後で書くとして、まず栗原

「栗原あああっ!行けえええええー!」

この千早が声援を送ったシーンも、めっちゃ良かった。

この栗原だけは実業団を目指してるんですよね。

将来の希望を感じさせる展開からスタートした箱根駅伝は、段々と現実の厳しさが見えるようになります。

そして、栗原から二位でたすきを渡された森本が、二区を走ります。

森本パートは最高の胸熱シーンですよ。

区間記録で慶安大学の田淵に勝つと千早に宣言した森本の走りが、なんと言っていいのか、もう最高でした。

「うおおー!!!森本ー!」

って読んでてなりましたもん。

もう、すごいかっこいい。

田淵と張り合って、最後競り勝つていうね。

「俺は一位で繋ぎたかったんです。一位で繋ぐかどうかって、意味が全然違うから。最後、あんなに粘られると思わなかった」

さらには、その当人の田淵からもライバル認定される、漫画のような熱い展開です。

結果二区を一位で通過した紫峰大学ですが、そこから徐々に順位を落としてしまうんです。

五区を任された寮長の葉月が、皆からの声援を受けて、きつい区間をなんとかつなぎますが、

この時点で紫峰大学は十四位。

両手でメガホンを作って、大きく息を吸った。吸って吸って吸って、万が一にも彼が聞き間違えることのないように、腹の底から声を出した。

「お前が寮長で、ほんっとーに、よかったっー!」

そして、

ここで懸念されるのが、「繰り上げスタート」

トップとの差が20分を超えてしまうと、前の走者が来なくてもスタートしなくてはならない、というルールです。

もちろんたすきは別のものを使わなければならない。

誰の汗も吸っていない。真っ新な、空っぽの襷だ。

千早も気にしていたように、そのとき付けるたすきは「空っぽ」なんです。

誰の汗も染みこんでいない。

なんだか悲しいルールですが、

でも、だからこそ、

この小説のような熱い涙の展開が生まれるんです。

努力が報われない結末

「いいか、千早。努力は人を裏切るよ。ここぞというときに、裏切るよ」

早馬から千早へのこの言葉。

すごい深くてすごい現実的な言葉ですが、

今までの作品の中で、ここまで直接に表現したのって見たことないです。

そしてこの言葉が現実になる展開、このご都合主義でない感じがこの小説の魅力。

前作の終わり方もそんな感じでしたね。

今回は、最後の10区を走るアンカーの千早に、たすきがつながらなかったという、やりきれないようなラストでした。

ギリギリまで待つ千早にたすきはつながらず、「空っぽ」のたすきを付けて走ることになるのです。

正直、ギリギリで間に合うんじゃないかと思ってったんですが、甘かったですね。

ちゃんとつながらない。

悲しくて、やりきれない気持ちになったけど、こういうところがたまらなく好きなところです。

そして、ここからがさらに面白い

たすきがつながらなかったことで千早は、

自分たちのしてきたことは一体何だったんだ

と自問します。

そんな心が折れかける千早を救ったのが、早馬の言葉でした。

「箱根駅伝を目指したことで、俺は、自分を許すことができたよ。強いランナーになれなかった自分も、努力が報われなかった自分も、競技を引退して別の道に行く自分も、全部、許して愛することができた」

「だからお前も、自分を許せる自分になって大手町に来い、ゴールで待ってる」

この言葉を受けて、千早の心に火が蘇り、前の選手をごぼう抜きしていきます。

こっちも大分熱くなってるところですが、その直後にとても面白い一文が。

襷は空っぽだけど、でも、モノがないと気持ちを受け取れないような馬鹿じゃない

この千早の言葉です。

人間とは不思議な生き物だと心底思いました

だって、最初は、襷が「空っぽ」だと嘆いていたのに、

今度は、襷なんてなくたって気持ちは繋がってるって言うんですよ。

熱すぎる展開の中で、人間のチョロさも感じるシーンでした。

そして、最終的な結果は、千早が十二位、個人としては区間二位の好タイムで、紫峰大学の箱根駅伝の幕は閉じました。

目標に掲げていた、

「たすきをつなぐこと」と「シード権を取ること」

どっちも達成出来なかったのが、ほんとにこの小説の良いところだと思います。

ただご都合主義で、熱さを演出しているわけじゃない。

現実の中で戦い、そしてそれでも届かなかった物語だからこそ、こんなに素直に物語を愛せるのだと思います。

努力は、裏切る。ここぞってところで裏切る。

裏切られたお前は、ここからどうする。

裏切られた自分を、お前は愛せるか。

【ちなみに】紫峰大学のモデルは、筑波大学

余談ですが、

作中に登場する紫峰大学のモデルが筑波大学なんです。

読んでいて、これもしかしてと思って調べてみたらマジでそうでした。

(自分の通っている大学が小説に出てくるってやっぱワクワクしますね)

↓の記事に書かれていることですが、

額賀 澪『タスキメシ 箱根』 | 小説丸
今しがた、箱根駅伝の予選会が終わった。興奮冷めやらぬ中、このエッセイを書いている。 4年前の2015年秋。作家デビューしてまだ5ヶ月という頃に、駅伝を題材にした『タスキメシ』を刊行した。まさか4年後に続編を書くことになろうとは、当時全く考えていなかった。

実は「筑波大学箱根駅伝復活プロジェクト」なるものを展開しているようでして、

他大学と戦うための資金をクラウドファンディングで集めるというなんとも今風な戦法を使っています。

そのかいあってか、2020年の箱根駅伝に出場することが決定したそうです。

パチパチ~。

全く知りませんでした。

恥さらしですね。

それを知ることができただけでも、『タスキメシ 箱根』を読んだ価値はあったというものです。

応援する大学がちゃんとあるってことがこんなに嬉しいことだと初めて知りました。

まとめ

ここまで額賀澪著『タスキメシ 箱根』の感想を書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

料理×スポーツの面白さもあって、序盤からほんとに飽きない!

ラストの箱根駅伝に至っては、涙なしには読めないですし。

(これはマジで)

「でも小説なんだよねー」って思ってる人にこそ、おすすめしたいんですよ。

小説にハマるきっかけになる力を秘めている。

それぐらい面白いし、読みやすい。

気になった方はぜひご一読をおすすめします!

それでは、良き読書ライフを!!

↓前作の文庫版!!

↓本作!!

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