【感想・評価】又吉直樹『人間』純文学の超大作!!又吉直樹から見た“人間”の姿とは!?

【感想・評価】又吉直樹『人間』純文学の超大作!!又吉直樹から見た“人間”の姿とは!? 純文学

どうもSoneyuです!

今回は又吉直樹著『人間』の書評を書いていきます!

読むのに死ぬほど時間かかりましたね笑

今二周してこれ書いてますけど、あと一周はしないと咀嚼できた感じがしないです笑


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又吉直樹 著『人間』 あらすじ

僕達は人間をやるのが下手だ。

38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。
何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?
初の長編小説にして代表作、誕生!!

「変な話だが、自分が小説を書くことになるなんて想像もしていなかった子供の頃から、この物語の断片を無意識のうちに拾い集めていたような気がする」(又吉直樹)

https://www.amazon.co.jp/人間-又吉-直樹/dp/462010843X
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感想・評価【ネタバレなし】

こんな人におすすめ!


  • 又吉直樹の強烈な作家臭に触れたい
  • 深い思考を求めがち
  • 時間をかけて一つの作品を味わいたい

どこが面白いのか?

ここからは『人間』の面白さを3つのポイントに絞って、書いていきたいと思います!

深い

端的に深い。

強烈な作家臭というか、文章力の高さだけじゃない、思考体系の深さ

普通の人には届かないところに、普段から届いているような「特別感」みたいなものがありました。

驚くところ、共感するところ、言ってることが分からなくて何回も読み返すところ、

全部ひっくるめて深いのです。

こう言うと、

ははーん。

「人間の本質」というものを、醜いところ、綺麗なところ、全部抉って突きつけてくる、そういう作品なんだな。

って思う方もいるでしょうが、それは大分違うのです

『人間』の面白いところは、「又吉直樹から見た人間の姿を描いている」というところで

それが間違っているかどうかという次元で語るのではなく

「その感性と思考体系が深くて面白い」という次元で語られるべき話なのです。

「人間の本質」なんて誰にも分からないのは当たり前で

そこに独自の視点で斬りかかっていく又吉直樹が格好いいというだけの話なのです。

表紙がダサい

僕正直に表紙めっちゃダサいなって思ったんですけど、皆さんはどうですか?

色合いが死んでるし、「生理的な嫌悪感すら感じるわ」って人がいてもおかしくないです。

(『花火』の方が格好良かった)

一目見て「あ、買いたい!」って思わない表紙って、本を売る側の戦略として終わってると思うんですけど、

でも、そこになぜか又吉直樹らしさを感じるという不思議な感覚があるのです。

「これが、又吉直樹の感性である」って主張しているような、そんな気迫があります。

“感性と思考の深さ”で勝負している作家であるからこそ、こんな感覚を抱かせるのでしょうね。

読み終えてから見ると、ちょっとだけ格好良く見えたりして笑

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登場人物が個性的

「人間」っていうタイトルを付けるくらいだから、

典型的な「普通の人間」を描くのだろうな。

って何となく思った人結構多いと思うんですけど

『人間』には個性的なキャラばっかり登場するんだよね。

なんで個性的なキャラばっかり登場するんだろう?って考えた時に、

又吉直樹から見た「人間」がこう見えるのかなって。

その個性的なキャラたちに共感するところもたくさんあって、

「その「普通」やら、「特別」やらを区別するのはレッテルを貼って楽したいだけでしょ」って作品に言われた気がします。

つまり何が言いたいのかっていうと。

『人間』は「人間」の全てを描いた作品なんかじゃなくて

又吉直樹から見た「人間」はこうなんだって主張してる感じがいいのだっていうことです。

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感想・評価【ネタバレあり】

ここからは『人間』をネタバレありで考察していきたいと思います!

正直考えたことが多すぎて書き切れないレベルなんですけど、

取り敢えず僕が「めっちゃいいな、この感覚」って思ったところを紹介します。

記憶は自分のものでしかない

「自分の記憶って誰のもんなんかな」
「えっ?自分のものじゃなくて?」
「自分のものではあるんやろうけど、自分のものでしかないかもとおもって。俺が今話してることって、俺がそうおもいたいという願いでしかないんちゃうかなとおもって」

『人間』

「自分の記憶が自分のものでしかない」って、言われてみればほんとそう。

客観的なものなんて何もないから、良いようにも悪いようにも自分の記憶は変わっていく。

結局自分次第ってことですね。「過去は変えられる」ってこういう意味なんでしょうね。

一秒が一秒であるという奇跡

「記憶も叙述も一秒が一秒ではない。一秒のことを一秒では想像できない。一秒が一秒よりはるかに大きい。その一秒を再現しようとしたら、莫大な労力が掛かる」
「現実ではありえへんほどの費用も」
「そんな1秒をこの瞬間も一秒で過ごしているということが、最も身近にある奇跡」
「確かに。あと、夜空を眺めたときに、ほかの星と比べて月だけ異常に大きいのに、みんな見すぎて慣れているという奇跡もな」
「そうやねん。うわ、そうやわ。嬉しい」

『人間』

アニメーションのくだりでも似たようなこと言ってました。

「アニメは絵が動いているけど、それでも一秒が一秒ではない」

一秒が一秒として感じられるのは現実だけで、それってすごいことじゃない?って登場人物たちは言っているのです。

月を見慣れていることを奇跡と呼ぶのは何となく分かるけど、

一秒を感じることを奇跡だと言う考えは新鮮です。

でも不思議とそう思うと、現実がほんとにすごいものだって感覚になるから、やっぱり『人間』はすごいです。

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井の中の蛙は宇宙を見ていた

「あの頃の俺達は井の中の蛙やろ。そっから必死に顔を上げて空を見ててん。宇宙近かったやろ。行けそうやったやん。 井戸と宇宙はほぼ同じやった。海で泳ぐ小魚どもから馬鹿にされてな。大きい魚に怯えて逃げ回ってる奴らが俺たちのこと世間知らずの蛙やって偉そうにほざいて。俺たちは宇宙の話をしてたのに。その秘密を共有してたのが永山やった」

『人間』

この言葉で何となく『空の青さを知る人よ』を思い出したんですけど、

考えてみると結構同じ事を言ってるなって思ったんです。

「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」

この「空の青さ」と「宇宙」って同じことですよね。

「夢」とか「希望」とか、「憧れ」って言葉で置き換えられそうで。

大学生の未来に焦がれる僕からしたら、こういう考えが超大好きなんです。

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結局作者が伝えたいこととは?

さて、結局作者が伝えたいこととはなんだったのか。

「自分は人間が拙い。だけど、それでもいい」

この言葉に集約されていそうだけど、これだけじゃないと思う。

「現実の一秒一秒を大事にすること」だったり、

「過去は自分のものなんだから自分次第で変えられること」だったり、

「空の青さを知ることの大切さ」だったり。

メッセージ性を持つものはこんな風に色々あるけど、その中でも一番重要なのは、

「人間が何者かである必要などないという無自覚な強さ」を持つ人間(父と母)と、

そうではない人間(主人公)の両方が描かれていて、

無自覚な強さを持たない人間は、無自覚な強さの代わりに何をよりどころにして生きていくのか考えなければならない、ということ。

主人公にとってそれは、家族だったり、絵と文章だったり、もしかしたら青春の思い出もそうかもしれない。

人間をやるのが下手な僕たちは、何者かであり続けるための何かを見つけなければならないのだと作者は言いたかったのでしょう。

これから自分は何を信じていくのだろう。
機内アナウンスが流れる。夜の東京が眼下にひろがる。明滅する街の光が細胞のように見えた。その灯の一つ一つに人間がいる。

『人間』

【追記】『人間』に出てきた『人間失格』ついての解説

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まとめ

ここまで又吉直樹著『人間』の書評をしてきましたがいかがだったでしょうか?

『火花』より好きでしたね。読めば読むほど味が出てくる感じがして。(僕の読解力が乏しいだけかも笑)

何より文章を読み解くのが難しいんですけど、読み終わった時の達成感は相当なものです。

「ん?どゆこと?」って詰まったとこも、

何回読んでも分からないところはなくって、何回か読むとちゃんと分かるんです。

圧倒的な純文学の超大作!ぜひご一読を!

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