【書評&感想】瀬名秀明 著『魔法を召し上がれ』マジックとレストランの融合した未来の形!エンターテイメントの力とは!?

書評

こんにちは、本好き大学生Soneyuです!

今回も小説を一冊読み終えたので、最初はネタバレなしで、書評部分ではネタバレを含んで考察をしていきたいと思います!

いやー、表紙と題名に一目惚れして買ってしまいました

「魔法を召し上がれ」って素敵な題名ですよね。

読み進めていくと、その意味が分かります。

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評価

こんなひとにおすすめ!

  • マジックが好きな人
  • 心温まる物語が好きな人
  • レストランによく行く人

導入

高級なレストランとかに行くと、料理を待っている間にマジシャンがテーブルにやってきて、マジックを披露してくれるお店ってあるじゃないですか。

僕は行ったことないですけど笑

この小説では、ちょっと未来の時代(ロボットが食事を運ぶような)のレストランの新しい形を表現しています。

マジックと食事の融合。

読んでいるだけでワクワクしました!

いつかそういうお店に行ってみたい!

想像すると、こっちまで楽しくなってくるんですよね。

小説の持つ力だと思います。

『魔法を召し上がれ』は、マジックを題材としていますが、魅力はそれだけではありません。

ロボットが社会に受け入れられる姿や、AR技術浸透により表面化した問題などのSF要素

また、主人公の高校生時代の”ある出来事”がこの物語の根幹になっていて、青春要素も感じられます。

それらの要素とマジックが「かけ算」されることで、雰囲気が徐々に変化していくんですよね。

ラストのシーンで、主人公が自らの過去と向き合うんですけど、シリアスなムードがよく表現されていてハラハラしながら読めました。

料理でいう二度三度おいしい状態で、全く飽きなかったです!

僕の個人的なハイライトは、「結婚式のシーン」ですね。

一つ一つのテーブルを回って、主人公がマジックを披露していき、人々の心が花開いていく様子は、本当に心が温かくなりました。

小説オリジナルのマジックもあるそうなので、マジック好きの方は必見です!

基本情報

『魔法を召し上がれ』

湾岸町のレストランで働くマジシャン・ヒカル。テーブルを巡り、料理を楽しむ客にマジックを披露している。高校時代、突然この世から消えた同級生の少女・美波を彼は忘れられない。ある日現れた、彼女の死にかかわりをもつ男。美波はなぜ死んだのか。時を同じくしてヒカルは、伝説的な老マジシャンからロボットを託される。1人と1体、そして彼らを取り巻く人々の再生の物語。

講談社BOOK倶楽部公式ホームページ(最終閲覧日2019年6月20日)
http://kodansha-novels.jp/1905/senahideaki/

著者:瀬名秀明

出版日:2019年5月16日

出版社:講談社

【ネタバレあり】書評

ここからは、ネタバレありでいきます!

ポイントを3つに絞って書評をしていこうと思います!

エンターテイメントとはなんぞや?

作中、たくさんのマジックが登場しますが、そうした“エンターテインメント”とは一体何なのでしょうか?

主人公ヒカルは、小説内で次のように述べています。

エンターテインメントの定義とは、「意識的に、人の心を別の世界に誘うもの」であると。エンターテインメントであると思えることを端的に定義すれば、それは「そこに気持ちを集中させられる」ということなのだと。

瀬名秀明 著『魔法を召し上がれ』

つまり、エンターテインメントとは、人の心を魅了するものなのです。

そういう意味で言うと、この小説には、エンターテインメントが溢れています。

マジックはもちろん、ヒカルとミチルの読んでいた物語もそう、ロボットを導入して工夫されたレストランのあり方に、立花さんの考案したデザートも間違いなくエンターテインメントです。

そうして考えてみると、エンターテインメントとは、人が人のために生み出した力であり、人をつなぐツールでもあります。

こうして、小説を読んでいて思うんですけど、

エンターテインメントって本当に素晴らしい。

人類の持つ、銀河に誇るべき力の一つだと思います。

僕も、将来エンターテインメントを生み出す何かができれば良いなと思いました。

また、世界中の人がエンターテインメントを生み出すことだけを考えている世界ほど平和で楽しい世界はないなとも思います。

だって、それは皆が他人のことを思っているということだから。

“ミチル”が失踪したわけとは?

人工知能を搭載した人型ロボットである“ミチル”のような、人間社会に溶け込んで人の支えとなる存在は、これから先の未来で間違いなく登場するだろうと思われます。

その技術の進歩に伴い、僕たちの倫理観も変化していくのでしょうか?

僕はまだ、そうしたロボットを、人間と同じように、もしくはペットとして扱える自信はないです。

むしろ、少し怖いかもしれない。

でも、

ミチルの存在を通して、いつかこんな時代がくるのだなと自然に思ってしまいました。

さて、ミチルが失踪した理由ですが。

「ずっと前から、ぼくには空が見えることがあった。どこか遠くの、誰かが見ていた空。きっとぼくに少しずつ繋がっているはずの空。ぼくが生まれてくるために誰かが見た空だとわかったよ。僕はその断片を少しずつ集めたんだ」

瀬名秀明 著 『魔法を召し上がれ』

ミチルは自分のルーツを探しに行ったんですね。

その旅の途中で、テルさんと出会い、ついに先生とケンイチの見た空を見ることが出来ました。

とてもいいお話なんですけど、ミチルの人間っぽさがすごくないですか?

僕は、そこらの人間より人間らしいと思います。

ロボットが知的好奇心をもって、主体的に行動するって、今の僕達の感覚からしたら完全にSFの世界ですよね。

こうして、ミチルが自分のルーツを知りたいと求めたのも、マジックや物語のエンターテインメントの力なのでしょうか?

“ヒカル”がかけた魔法の正体は?

ラストシーンで、ヒカルは自分自身に魔法をかけます。

直前までまるでヒカル自身が飛び降り自殺するような雰囲気を出していましたが、全て伏線で、真相は落ちたふりでした。

コンタクトのAR技術を逆手にとって、大野くんとミチルに自分が死んでいるように見せかけましたのです。

その結果、ミチルの説教もあって、大野くんは自分のした事を自覚したのか、湾岸町で幽霊になるために飛び降り自殺する人はいなくなりました。

でも、ヒカルが自分に魔法をかけたのは、それだけが理由じゃないと、僕は思います。

他にも、ミチルとの別れを作る必要があったことと、美波に会いたかったことの二つが挙げられます。

まず、一つ目

ミチルとの別れの刻限が刻々と迫ってきていたため、ヒカルは自分に魔法をかけて消えることをもって別れとしたかったのでしょう。

悲しい別れ方ですが、エピローグでミチルに会いに行くという記述もあり、一生の別れではありませんでした。

次に、二つ目

落ちたふりをした後、

教室で美波と再会するシーンは、なんとも幻想的でした。

ありがとう。まだわたし、生きていける」のセリフと、花束を抱えて笑顔で立つ美波の姿に思わずうるっときてしまいました。

本当の魔法使いは、美波だった。

瀬名秀明 著 『魔法を召し上がれ』

ヒカルが高校時代にかかったままだった魔法を解いたのは、美波だったのですね。

美波の笑顔が、ヒカルの魔法を解いたと考えると、なんとも素敵な気持ちになりました。

まとめ

ここまで、『魔法を召し上がれ』の書評記事を書いてきましたが、どうだったでしょうか?

五〇〇ページとちょっと長めですが、読みやすいのでそんなに時間はかからないと思います。

気になった方は、是非読んでみてください!

切ない物語が好きな方におすすめの一冊!

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