【書評・感想】東野圭吾著『クスノキの番人』東野圭吾の新たな代表作!「謎」と「キャラ」と「人間ドラマ」に導かれて。

【感想】東野圭吾著『クスノキの番人』「謎」と「キャラ」と「人間ドラマ」に導かれて。 ファンタジー

「秘密」「時生」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の流れを汲んだ東野圭吾の新たな代表作と評される本作「クスノキの番人」

設定は「ファンタジー」、読ませるのは「謎」と「キャラ」と「人間ドラマ」です。

「人が死なない」タイプの東野圭吾小説です。

450ページと長めですが、もうちょっともうちょっと、と読んでいるとあっという間にラストシーンまで。

一晩で読み切ってしまいました。

「心を満たす」読後感、「心に染み入る」読み心地。

何がそこまでの満足感を生み出したのか、見ていきましょう。

スポンサーリンク

東野圭吾 著『クスノキの番人』あらすじ

不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。

同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。

依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と。

『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たなエンターテインメント作品。長編書き下ろし。

https://www.j-n.co.jp/kusunokinobannin/

こんな人におすすめ!!

  • 「秘密」「時生」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」好き
  • スラスラ読める作品がいい
  • 心が満たされる小説を読みたい

『クスノキの番人』のここが面白い!

1.主人公“怜斗”と“千舟さん”という正反対のキャラ

本作は、「警察に捕まった“怜斗”を“千舟さん”がお金で助け、代わりにクスノキの番人を命じる」というところから始まります。

主人公“怜斗”は、貧困家庭で、流されるように根無し草として生きてきた、若者。

“千舟さん”は、名家の令嬢で、一流ホテルの経営者として名を残す、おばあさん。

「正反対」だから、二人のやり取りがすごく面白い。

「東野圭吾の文章だから」というのも、大きいです。

流れるような会話、ちょっとした衝突、思いがけない感情の変化。

劇的な何かがあるわけではないのに、こんなにもキャラへの「興味深さ」を感じるのは、初めてでした。

東野圭吾の35周年の重みと、洗練された技術のなせる技のように感じました。

2.“クスノキ”の謎

「その木に祈れば、願いが叶うと言われるのはなぜか」

作中、最も大きな謎として描かれる、“クスノキの力”。

その祈念の4つのルールがこちらです。

  • 新月と満月の夜しか祈念できない
  • 祈念の内容は極秘
  • 誰かの死を願うこともできる
  • 願いが叶うとは限らない

正直、謎が明かされた時、「衝撃」はないです。

「嘘だろ!」とはならない。

ただ、「興味深い」。

意外ではない“クスノキの力”、

「それがなぜ重要だったのか」

「これからどう重要になっていくのか」

ただ人間ドラマを生み出す“媒介”としてだけでなく、“クスノキの力”そのものが作品のテーマの象徴として描かれています。

「クスノキの力とは何か」

「作品のテーマは何か」

それを考えながら読むと、より一層面白くなると思いますよ。

3.ほんのり甘い恋心と、ふたつのサブストーリー

なんだかんだで一番印象に残っているのが、主人公の「ほんのり甘い恋心」。

「甘すぎない」というのが重要ですね。

“クスノキの謎”を追う中で、ある1人の女子大生と親しくなっていく主人公ですが、本作のテーマはラブコメではないので、そっち方面には振り切らない。

その「絶妙なさじ加減」が、東野圭吾の技巧力によって生み出されています。

正直、普通のラブコメを読むより、この「ちょっぴりのスパイス」としての恋心の方が、心に、きます。

そういうのがお好きな方には、ぜひおすすめですね。

そして、ふたつのサブストーリー。

主人公に直接は関わらないお話のことです。

“クスノキの力”が大きく関わってくるこの二つのお話は、短編的でありながら、あくまで長編の中で描かれます。

どちらも、明かされた“クスノキの力”を何回かひねったような使い方をしてくるので、そこが面白いところですね。

スポンサーリンク

著者の関連作、次に読むなら……?

著者のおすすめ関連作をいくつか紹介!!

①心がほわっと「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

「クスノキの番人」のような、「ファンタジー設定で人間ドラマを描く」東野作品が読みたいなら、まずはこちらの一冊。

読んで絶対に損はしない。

そんな作品になっております。

②東野圭吾と言えば「容疑者Xの献身」

東野圭吾と言えばガリレオシリーズと言えばの、「容疑者Xの献身」。

ガリレオ知らないという人も。

③がっつりミステリー「仮面山荘殺人事件」

知名度は低いが、クオリティは超高い一作。

がっつりミステリーをご所望ならば、ぜひ。

スポンサーリンク

まとめ

『クスノキの番人』のここが面白い!

  • 主人公“怜斗”と“千舟さん”という正反対のキャラ
  • “クスノキ”の謎
  • ほんのり甘い恋心と、ふたつのサブストーリー

東野圭吾の最新長編「クスノキの番人」

「秘密」や「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と並んで紹介されるように、設定はファンタジー、読ませるのは「謎」と「キャラ」と「人間ドラマ」です。

作家生活35周年を迎える東野圭吾がどんな作品を送り出すのか、長年のファンは間違いなく必読の小説です。

ただ、東野作品を初めて読むのであれば、この作品でなくてもいい気はしますね。

総じて、「驚愕の真実!!」、「感動に涙が止まらない!」などの、劇的な何かがあるわけではない小説。

しかし、落ち着いてどっしりとした雰囲気の中に、「興味深さ」や「味わい深さ」が顔を出し、小説を読む「面白さ」を読者に与えてくれる、そんな作品です。

ぜひ、ご一読を!!

スポンサーリンク

↓東野圭吾のおすすめ本

【書評・感想】東野圭吾著『超・殺人事件』炸裂のブラックユーモア!「超」の付く8つの事件!
今回紹介するのは、東野圭吾著『超・殺人事件』!8つのお話が詰まった短編集で、クセが強い作品が集結しています。著者のブラックユーモアが爆発した「いつもと違うミステリー」を味わってみたい方はぜひ!!
【感想・評価】東野圭吾『恋のゴンドラ』(文庫化)「恐怖のゴンドラ」に題名を変えてほしいと思った。【文庫特別編も】
この記事では東野圭吾著『恋のゴンドラ』の感想をネタバレなしとありのパートに分けて書いています!どんな人におすすめか、実際に購入するほどの面白さはあるのか、本作の魅力をサクッと紹介します!まだ読んでいない人、読もうか迷っている人はぜひご覧ください!!

↓おすすめミステリー集

【2019上半期】令和に読むべき、おすすめミステリー小説ランキング!!!【超絶厳選】
この記事では、最近発売されたミステリー作品の中から特に面白かったものをランキング形式で紹介しています。年間本を300冊読むぼくが、作品の魅力、面白かったところをわかりやすく紹介しているので、ぜひご覧ください!

↓おすすめ実用書

【2020年最新】大学生におすすめの実用書・自己啓発書Top11【現役大学生が選ぶ】
「実用書って、数が多くてどれから読めばいいか……」そんな人に、現役大学生で年間300冊の本を読む僕が“大学生のうちに読んでおくべき”おすすめの実用書・自己啓発本を紹介していきます!

↓時間がなくても本が読みたいという人に

【本好きが語る】評判の本の要約サイトflier(フライヤー)使ってみた感想→実用性高め【メリット・デメリットも解説】
皆さん、本の要約サイトflier(フライヤー)って知ってますか?最近愛用しだしたお気に入りのサービスで、「スキマ時間を無駄にしたくない人」や「たくさん本を読みたいけど中々時間が取れないという人」にかなりおすすめです!実際に使ってみた感想を交えて解説していきます。

コメント