【感想・評価】道尾秀介『カエルの小指』二転三転の大逆転ミステリー!個性的なキャラたちが仕掛けるド派手なペテン!!

【感想・評価】道尾秀介『カエルの小指』二転三転の大逆転ミステリー!個性的なキャラたちが仕掛けるド派手なペテン!! ミステリー

どうもSoneyuです!一年に300冊ほどの本を読む大学生です!

この記事では、効率よく面白い本だけを読みたいという人や、本書を買おうか迷っている人に向けて、紹介する本のどこが面白くて、誰におすすめなのかを分かりやすく解説していきます!

オオソネ
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ネタバレありの書評もしているので、読了済みの方、あらすじだけを知りたい方はそちらをご覧ください!


オオソネ
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読むのにかかった時間は…4時間です!

一気読みだったんですけど、平均的なスピードだと思います。

【考察・感想】道尾秀介『いけない』1枚の写真ですべてがひっくり返る!?“体験型ミステリー”を味わえ!
この記事では、『いけない』の考察をしています!今話題沸騰のミステリー、読んだ後人と語りたくなるその面白さをぜひ味わってください!全四章で構成される本作を徹底的に考察しているので、謎が解けなくてモヤモヤするよっていう人はぜひご覧ください!
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【ネタバレなし】道尾秀介著『カエルの小指』あらすじ・評価

どんな人におすすめ?

  • 『カラスの親指』読了者
  • 二転三転するミステリーを読みたい
  • ご都合主義が気にならない

どんな物語?

前後編に分かれた構成で、前半はキャラの紹介がメインで、後半にド派手なペテンがどどんと描かれます。 

キョウという新キャラが『カラスの親指』で登場した古参キャラと絡むっていう構図で物語は進んでいく。

前半は少し退屈する印象なんだけど、後半に入ってからの疾走感がすごくって。

キャラ一人一人の特技を活かしながら、鮮やかに敵を欺いていくストーリーはやっぱり興奮するし、エンタメ色がほんとに強い!

この前話題になった『いけない』とは、また違った道尾秀介さんの魅力が出ている作品なんだってめっちゃ感じました。

読者が能動的に作品との対決するのが『いけない』だとしたら、まるで乗り物に乗っているかのように読者を受動的に楽しませてくれるのが『カエルの小指』かな。

何かを考えながら読む小説じゃなくて、ただただ作者の意のままに流される心地よさが味わえるような作品。

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どこが面白い?

エンタメとしての面白さがすごく濃い作品。

正直『いけない』の「The・ミステリー」感の印象が強すぎて、それに引っ張られちゃってる感じはするけれど(笑)

それにしても、細かい筆致と魅力的なキャラ、テンポのいい会話は、どの作品でも表れる道尾秀介さんの根源的な面白さなんだなって実感した。

簡単すぎず、難しすぎない、その絶妙なバランスが、大衆的って言っちゃあれだけど、誰でも楽しめるようなストーリーとすごくマッチしてる。

ただ、個人的に最後のオチがすごーく気に食わないんですよねー。

シリーズ全体の雰囲気には合っている終わり方(「よかったね、ちゃんちゃん」で終わるような)なのかなとは思ったけど、ご都合主義の匂いがプンプンした。

ご都合主義の本なんて死んでも読みたくないと思っている人には、あまりおすすめできないかな。

100点満点で付けるなら?

70点ですねー。

『カラスの親指』のファンの方や、こういう小説が好みだって方は多分もっと楽しめるんですけど、

いかんせん、『いけない』のインパクトが強すぎて(笑)

次世代の小説の先駆けになるようなあれを読んでしまったら、ちょっと物足りない気がしてしまいます。

【ネタバレあり】道尾秀介著『カエルの小指』感想・考察

前半〈キョウとの出会い、テレビ出演へ〉

前半は、実演販売士をやっている主人公タケの元に、中学生のキョウが弟子入りを志願するところから物語は始まります。

キョウの母親を死から救ったのがタケだったという縁もあり、タケは修行をつけることに。

そんな中、ナガミネという男に騙された母親が目の前で飛び降り自殺を図ったという、キョウの凄惨な過去を知ったタケ。

二人は探偵にナガミネの捜索を依頼する資金をかせぐため、「発掘!天才キッズ」での優勝を目指して奮闘します。

そんな中、たまたま見つけた格安料金の探偵所にナガミネの調査を依頼してみたところ、ナガミネは既に死亡していることが判明。

タケはその事実を告げられないまま、昔の仲間である、まひろ、やひろ、貫太郎、そして小学生のテツの協力もあり、キョウはメキメキと実力をつけていきます。

そして、ついに本番当日がやってきましたが、スポンサーの関係でキョウは出場できず、最後飛び入りで参加したはいいものの、ミスをしてタレントを怒らせてしまうという散々な結果に

その後、タケの部屋から盗聴器が見つかったことで、ナガミネの調査を依頼した格安の探偵が自分たちを欺いていたことが発覚

「不公平に抗うため」、メンバーたちは反撃の決意を固め、派手なペテンを次々と仕掛けていきます!

後半〈派手なペテン、騙し合いが始まる〉

この後半で一番印象的だったのが、小学生テツの活躍

スマホのカメラで赤外線カメラの位置を把握し、

ライターとテープで鍵の型を取り、

Bluetoothのキーボードでパソコンを遠隔操作するという小学生にあるまじき問題対処能力。

立て続けに作戦が実行され、スピード感溢れる展開にワクワクしながら読んでたのが、この後半です!

まず、タケたちがやったのは、探偵のパソコンから情報を引き出すことと、まひろが囮となりナガミネに騙された振りをして近づくこと

監視カメラ仕掛けたり、GPS仕掛けたり、服にミルクぶっかけたり、バラエティに富んだ作戦ばかりで普通に面白かったです。

その後、詐欺師を追い詰め改心させるというテレビ番組の企画を利用して、ナガミネを追い詰める作戦を実行。

出演の段取りを着々と整え、あとはフードコートでナガミネと対決するだけ、というところで、タケがキョウを騙していたことが明かされます。

整理すると、

  • まひろと会っていたナガミネは役者であり、偽物
  • 金を奪うため車にGPSを付け、家を特定したナガミネは本物
  • 探偵とのドンパチやったのは本物

タケは昔自分がやられたことと同じことをキョウにしてあげたかったという思いがあって、

怒りに任せてやり返すとしっぺ返しをくらうことを知っていたから、ナガミネの偽物を作りました。

そして、最後の最後でキョウの計画も発動します。

テツに車の警報を鳴らさせて下の駐車場にナガミネの注意を引いたところで、キョウがナガミネをテラスから突き落とそうと突撃。

偽物のナガミネがあわや転落かと思わせぶりな描写が入りましたが、すんでのところでキョウは踏みとどまりまったのです。

その後、全員車で脱出し、エピローグへと。

最後は、タケとキョウが墓の前で再会し、キョウが父親と上手くいきそうだと報告。

タケがカエルに似た石をワインの代わりに玄関に飾ることを決め、キョウの母親がまだ生きていたことが明かされて物語は終わります。

ここで作中を通してのキョウの作戦を振り返ると、

  • キョウの父親は瀬谷ワタルだった。実演販売の番組出場の思惑は瀬谷ワタルの毛髪を手に入れるため。
  • 父親のアナウンスを至る所でやっていたのは、その瞬間だけ父親が瀬谷ワタルであることを忘れることができるから。
  • 一連の作戦でのキョウの最終的な目的は、ナガミネを父親の目の前で突き落とすこと。ナガミネを母親と同じ目に、瀬谷ワタルを自分と同じ目に遭わせることが目的。
  • ナガミネを突き落とすことをやめたのは、もしかしたら父親と上手くいくことまで読んだキョウの作戦だったかもしれないこと。

作者が伝えたいこととは?

ひとつは、主人公のタケがキョウの作戦に付き合った理由

「誰かにもらったものを、同じように受け渡す」

その精神がタケの一貫した行動原理になっています。

死んでしまった人からもらったものをどうやって恩返しすればいいのか。

同じような境遇にいる人にはきっと共感できるところがあると思います。

そして、もうひとつは、キョウというキャラそのもの

人を刺した母親が目の前で飛び降りるという中学生が抱えられる重さを超えたものを背負ってしまったキョウがどう変わっていったのか。

最終的に父親と上手くいったのは出来過ぎだと思うけど、

一歩踏み出して行動することで過去のトラウマにケリをつけることができたっていうのは作品全体の持つ雰囲気そのものだなって感じます。

まとめ

ここまで道尾秀介著『カエルの小指』の書評をしてきましたが、いかがだったでしょうか?

「a murder of crows」

何でmurderなのかの理由も面白かった!動物によって群れの言い方が変わるっていうね。

(ちなみに、キリンは「a tower of giraffes」らしいですよ)


個性豊かなキャラたちが暴れ回る『カエルの小指』。

ドンチャン騒ぎのようなスピード感溢れる物語が好きな人におすすめの一冊です!

気になる人はぜひご一読を!

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