【考察・感想】道尾秀介『いけない』1枚の写真ですべてがひっくり返る!?“体験型ミステリー”を味わえ!

ミステリー

どうもSoneyuです!

今回も面白い本を一冊読み終えたので書評をしていきたいと思います。

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道尾秀介『いけない』 あらすじ

騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。
『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!
どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。
「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910512

こんな人におすすめ!

  • ホラーチックなミステリーが好きな人
  • 謎解きに挑戦しながら読みたい人
  • 衝撃の真実に驚かされたい人

“体験型ミステリー”と銘打たれた本作『いけない』!

この小説の一番の特徴が、章ごとの終わりに付いている1枚の写真です。

Soneyu
Soneyu

これがほんとにすごい!道尾秀介さんは天才ですね。

文章を読んだだけだと、なんかモヤモヤした曖昧な感覚が残ります。

「うーん。あれはこういうことなのか?」みたいな。

で、その後に写真を見て少し考えていくと「あ!そういうことか!」って、まるで霧が晴れたように真実が見えてくるんです。

Soneyu
Soneyu

これがものすごく気持ちいい!

ただ、写真を見ても物語の中のすべての謎が明らかになるわけじゃなくて、読者の想像に委ねられているところもあります。

何が「いけない」なのか考えるのも読者次第で、かなり考察するポイントが残されているんですね。

そうやって読者側を能動的に小説の世界の中へ引っ張り込むところが“体験型”なのでしょう。

文章も読みやすい上に、臨場感たっぷりで、大衆向けって感じで人を選ぶ小説ではないです。

謎解きに挑戦したい人、ただ驚きを味わいたい人に、これ以上ないほどにおすすめしたい1冊です!

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考察・感想【ネタバレあり】

第一章「弓投げの崖を見てはいけない」

文章を読んで

吉住に撥ねられた可能性があるのは、この3人!

  1. 森野雅也(手には包丁)
  2. 隈島(手にはラークの箱)
  3. 安見邦夫(手には矢)

ぼくは最初安見邦夫が轢かれたのだと思いました。

でも違いましたねー。

写真を見て(死んだのは誰?)

一章のラストページの写真は「蝦蟇倉市の地図」です!

さて、ここから分かることは何か?

結論から言うと、死んだのは隈島だってこと。

これは先の章を読んでも分かってくるのですが、文章と地図を使って一つ一つ考察していくと答えは隈島であることがはっきりします


しかし、ゆかり荘の前を抜けようとしたとき、突然フロントガラスの右側から人影が現れ、鈍い激突音とともに闇の中へ弾き飛ばされた。

(P.73)

この描写がすべての鍵であり、これと3人の状況を照らし合わせて分かる矛盾を書くと。

  • 森野雅也が轢かれた場合、ゆかり荘から少し離れた路地に飛び出すことになり、「抜けようとした」の記述に合わない
  • 邦夫が轢かれた場合、左側から飛び出すことになり、「右側から」の記述に合わない

従って、死んだのは隈島ということになります。

隈島が轢かれた場合の矛盾もないですしね。


第二章「その話を聞かせてはいけない」

文章を読んで

この話ぼく結構好きなんです!

比喩がたくさん散らばってて、謎解きというよりも不気味さ漂うホラーチックなお話として楽しかったです!

でね、ただのお話として読むと、ラストシーンで薄気味悪い不気味な風がまるで珂の頼みを聞いたかように絶体絶命の珂のことを助けたと読めるんですが、

またしても写真でひっくり返されます!

写真を見て(なぜ死んだの?)

二章のラストページの写真は、「ニュース番組に出ている文具店のおばあさんとその甥っ子」です!

ここで注目したいのが、写真の端っこ、少年のような人影が車に乗り込もうとしているんです!

これに気づいたときはめっちゃ怖かったです。

つまりおばあちゃんと甥っ子を突き落としたのは、山内だったと考えることができます。

さらに、それだけじゃない!

ガーゼについた赤黒いシミ、珂の話をあっさりと否定した態度、文具店の前に立っていたわけ、車に乗り込めた理由、そして珂が甥っ子と鉢合わせたときの不審すぎる雰囲気。

甥っ子が固まったようにあそこまで不自然な体勢でいたのは、衝撃的な光景に呆然としていたからだと考えることができます。

すると、おばあちゃんの夫を殺したのは甥っ子じゃなくて山内だと推測するのは的外れじゃないと思うんです。

これに関しては確実な記述がないのでなんとも言えませんが、山内がおばあちゃんと甥っ子を殺したのは終章の文章からも読み取れるので確実だと思います!

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第三章「絵の謎に気づいてはいけない」

文章を読んで

第三章は第四章を読んでから読むと、一層面白さが増すと思います。

竹梨の行動の一つ一つに意味が生まれて、一回目とは違う読み方ができました。

一回目に読んだときは、水元が死んだシーンで、もしかして…という疑惑が浮かび、

写真を見て、疑惑が確信に変わりました!

写真を見て(罪は誰のもの?)

第三章のラストページの写真は、「手帳の絵に誰かが手を加えようとしている場面」です!

ここで、宮下志穂を殺した犯人は守谷で、それを庇うために手帳に手を加えたのが竹梨だと分かります。

鑑識のシロさんという線もありますが、竹梨と守谷の目線のやりとりや、水元の死のことを考えると、やっぱり竹梨が守谷を庇うために手帳に手を加えたと考えるのが自然です。

これも終章を読めば分かるのですが、竹梨は妻の死から十王環命会と繋がりがあり、そのせいで隈島の交通事故の時と今回の事件で罪を犯すことになってしまったわけです。

ただ、この宮下志穂の事件で唯一謎のままなのが、殺害の動機です。

これだけが、ほとんど何の情報もなく、ぽっかりと空いた印象です。読者の想像に任せる感じなのかもしれません。

ぼくの中で、この動機だけがモヤモヤしたままです。謎です。

終章「街の平和を信じてはいけない」

文章を読んで

この終章で、安見邦夫が死体遺棄をしたこと珂と山内が仲良くなっていること竹梨が妻の死からたくさんの罪を犯してきたことなどが明かされます。

ぼくがまず感じたのが、「平和を信じてはいけない」の意味の怖さです。

これは完全に珂に対する警告だと思われます。

  • おばあちゃんの夫を殺したかもしれない山内と仲良くなっていること
  • 復讐のため人を殺した邦夫に感謝の気持ちを述べたこと
  • 十王環命会を庇うため人をも殺した竹梨に親切にしてもらったこと

ラストの珂と山内の会話です。

「平和っていうか」

山内も太陽に鼻先を向けて声を飛ばす。

「ね、平和っていうか」

(p.251)

何も知らない珂の無邪気さが余計に怖さを煽ります。

だって怖いですよね。

知らないうちに人を殺してる人間2人、もしかしたら3人と話してたのかもしれないんですから。

「平和を信じるなー!疑えー!」っていう警告は果たして珂に届くのでしょうか。

そして、もうひとつ。

ぼくはこの終章を読み終えて、とても悲しくて皮肉な結末だなと思いました。

それは「読まれたくない手紙は読まれ」(邦夫の手紙)、「読んで欲しい手紙は誰にも読まれることがない」(竹梨の手紙)結末だったからです。

救われないなー。という印象で読み終えたのですが、写真が示す真実に気づき、驚きと共に、人の優しさをものすごい感じました。

これが、ぼくが『いけない』を読んでいる中で、一番の驚きでした!

写真を見て(わかった?)

終章のラストページの写真は、「白紙の手紙が5枚写っているもの」です!

これがほんとに衝撃でした!

この写真が意味すること。それは、邦夫に代筆を頼まれた妻の弓子が、結局手紙に何も書かなかったってことです。

これは良い行動ではないのかもしれませんが、ぼくはここに人の優しさや愛情を感じました。

だって、復讐に支配されてあれだけのことをした夫のことをまだ思っているということですよね。

まだ一緒にいたいって。

結局邦夫と竹梨の手紙は誰にも届かず、最後にほんのり温かい救いを残して『いけない』のお話は幕を閉じます。

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まとめ

ここまで『いけない』の考察をしてきましたがいかがだったでしょうか?

ほんとに面白いのでまだ読んでいない人はぜひ!

2周してみるのも良いと思います!

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