~バラエティに富んだ珠玉の短編集~恩田陸『歩道橋シネマ』【感想・評価】

~バラエティに富んだ珠玉の短編集~恩田陸『歩道橋シネマ』【感想・評価】 短編集

どうもSoneyuです!

年間300冊の本を読む本好きで、普段は書評や映画の記事を書いています!

本あんまり読まない子
本あんまり読まない子

『歩道橋シネマ』ってどんな本?

どこが面白いの?

私に合ってるのかなあ……

そんな人に向けて、ネタバレなし、ありに分けて解説しています。

ぜひ最後までご覧ください!


恩田陸 著『歩道橋シネマ』

恩田陸の感性を爆発させた珠玉の短編集。


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恩田陸 著『歩道橋シネマ』感想・評価

(2019年11月20日発売,新潮社)

いやー、良くも悪くも恩田陸ワールド

全部で18編もの短編が収録されています。

Soneyu
Soneyu

いや、18て笑

短編集のジャンルでもかなり多い方ですね。

SFやホラーからちょっと笑える話まで、バラエティに富んだ構成になっています。

Soneyu
Soneyu

ジャンルが絞られていない分、ごちゃ混ぜの福袋感がすごかった!

一番古いものだと2015年、最新だと2019年の話まで、時間軸的にもバラバラで。

恩田陸の変遷を辿るような楽しみ方もできます。

そういう意味だと、恩田陸ファンは見逃せない一冊です。

ただ、期待してたほど面白い話ばかりでもなかったのも、事実。

全18の中で、「これ面白いな」って思えたのは、まー2つか3つで他は普通もしくはそんなに面白くない。

重ねて言いますけど、

恩田陸ファンは必見の一冊で、そうじゃない人で恩田陸の作品読みたい人は『蜜蜂と遠雷』から入った方が絶対に良いです。

Soneyu
Soneyu

難易度はそれなりに高いねー。

→こちらも著者の感性が爆発したおすすめ短編集村田沙耶香 著『生命式』

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恩田陸 著『歩道橋シネマ』 あらすじ

ちゃんとしたあらすじを知りたい方はこちらをどうぞ↓

とある立てこもり事件の証言をたどるうちに、驚愕の真相が明らかになって……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて〈才能〉の美しさと残酷さを流麗な筆致で描く「春の祭典」、ある都市伝説を元に、世界の“裂け目”を描出させた表題作ほか、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。

https://www.shinchosha.co.jp/book/397112/ から引用

あらすじ・内容テリング【ネタバレあり】

ここからは全18の短編の中から特に面白いと思ったものを2つ紹介していきます!

ネタバレを含みますが、内容を知ってから買いたいという方はこちらをご覧ください!

Soneyu
Soneyu

これを面白いと思ったら買ってもいいと思うよ

『あまりりす』

みんなは「あまりりす」と聞いて何を想像しますか?

おそらく、植物か、もしくは山口百恵の二択だろうと思います。

Soneyu
Soneyu

え、どっちも知らない?

しかし後書きによると、

恩田陸さんの言う「あまりりす」とは、「余り栗鼠」なんだそう。

Soneyu
Soneyu

いや、逆に分からん

これを聞いたスタッフは爆笑したそうですが、それもお話の全容を聞くと違う色味を帯びてきます。

結構ホラー目の話なので苦手な方はご注意を。

最初に覚えておいてほしいことがひとつ。

このお話は「テープレコーダーから聞こえる人々の話し声」だけで書かれています。

舞台は、ある田舎で催された故人を偲ぶ会。

亡くなったのは長岡森太郎という大学の教授で、どうやら村の伝統的な祭りで事故に遭って死んだそう。

祭りを知らない大学の門下生が村の人々に祭りについて訪ねますが、なぜか村の人は詳細を語りたがりません。

さらに誰かが「あまりりす」という言葉を発する度に他の誰かが強い口調でたしなめる、という始末です。

Soneyu
Soneyu

こりゃ、何かあるぞ

何回も話がはぐらされますが、酒が回り始めるに従って村の人の口も軽くなり、段々と祭りの日に何があったのかが、明らかになっていきます。

その祭りというのは、目隠しをして声を一言も漏らさずにご神体をお旅所に運ぶというもの。

夜中の山道を通って。

普段から山に慣れている村の人にとってはなんてことないことらしいのですが、教授は木の根っこにつまずいて転んでしまった。

その拍子に声が漏れてしまったんです。

その結果の惨状を、村の人は「切り干し大根」だと評していました。

Soneyu
Soneyu

いや、どんな食い散らかし方をしたらそうなる

「あまりりす」は声に敏感なんだそうです。

すると、そろそろ宴もたけなわというところで、外から蜂の羽がこすれるような妙な音がし始めます。

村の人が外を見てみると、そこには大量の「あまりりす」が空間をびっちりと埋め尽くしていました。

驚く村の人々の様子と、喧噪の音を最後にテープレコーダーは途切れ、場面がツーリングに来た若いカップルに移ります。

今まで拾ったテープレコーダーの会話を聞いていたカップルが、不審に思いながらもそれを草むらに捨てたところで、話は終わりです。

どうでしたか?

村系のホラー話は日本人大好きですからね。

『あまりりす』も安定した面白さがありました。

特に、テープレコーダーの会話体で進むのと、最後若いカップルに場面がいくところが良いですよね。

「肉と皮がさー、似てんだよ、スジ煮込みみたいでよー、切り干し大根煮たのに」

『歩道橋シネマ』より引用
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『逍遙』

どこもかしこもVRやARの話題で持ちきりの風潮の中、その先の世界を恩田陸さんはSFとして描いています。

Soneyu
Soneyu

あんまりSFのイメージはなかったので新鮮でしたね。

みんなはRR(リモート・リアル)って知ってますか?

Soneyu
Soneyu

まあ、知ってるわけはないのですが

このRRとは、「今の時代で言うホログラフティが本物になってしまう技術」のことです。

人間は意識で実体を認識している、意識が人間を作っているという原理が根底にあります。

でもそれはARより遙かに高度で、自分も実際にそこにい周りの人間から見ても本物のように見えるし、自分も実際にそこにいるかのような体験ができます。

つまり、瞬間移動のようなことが実際に可能になるってことです。

Soneyu
Soneyu

実感として理解できない世界。SAOの先の世界だよね

スカイプでリモートワークする時代は終わり、実体として人がどこへでもアクセスできる時代が来るのかもしれません。

Soneyu
Soneyu

もはや空間の超越。これが出来たら、時間の超越ができる時代が来るのも夢じゃないよね

それで肝心の話の中身ですが、そんなに面白くないです。

RRが最高に面白いので、話自体をわざと平坦な感じにしたのだと思います。

ある教授がなくした懐中時計を、友人三人がRRしながら探す、というストーリー。

道を辿りながら探しますが、中々見つかりません。

思索を巡らせ三人が辿り着いた真相は、「教授がRRしていた」というものでした。

RRするときに家に置き忘れたのだから、実地にないのは当然だという推理。

教授はRRで他の先生との話し合いに参加しながら、実際の自分は別の場所にいて女の人といたわけです。

Soneyu
Soneyu

こういう事例もたくさん出るでしょうね。なんなら女風呂も覗けちゃいますから

RRメインの話で、トリックにRRを絡めるという常套手段。

それでもちゃんと面白いのは、さすがの一言に尽きますね。

SF好きにはたまりません。

「じゃあ、これって、君の感じていることであって、僕が感じているわけじゃないってこと?」

「いえ、そうういうわけじゃないんです。僕が感じられることであれば、あなたたちも実際に感じられますよってことなんですよ、リモート・リアルっていうのは」

『歩道橋シネマ』より引用
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まとめ

ここまで 恩田陸 著『歩道橋シネマ』の書評をしてきましたが、いかがだったでしょうか?

『あまりりす』にしても、『逍遙』にしても、根底には恩田陸さんの感性があるんですよね。

18もの短編を読んでいると、何だか小説というよりエッセイを読んでいるような気分になりました笑

『歩道橋シネマ』は、

恩田陸さんの考えや見ているものを感じ取れる作品です。

紹介した話以外にも、バラエティに富んだ話がたくさん収録されているので、自分の好きな話を探してみると楽しいと思います!

→こちらも著者の感性が爆発したおすすめ短編集村田沙耶香 著『生命式』

→傑作サスペンスの短編集芦沢央 著『許されようとは思いません』

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最後に

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それでは良き読書ライフを!!

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