【感想・評価】朝井リョウ『どうしても生きてる』我々の生きる意味を問う著者の最高到達点!!

【感想・評価】朝井リョウ『どうしても生きてる』我々の生きる意味を問う著者の最高到達点!! 純文学

どうもSoneyuです!

年間300冊の本を読む本好きで、普段は書評や映画の記事を書いています!

ネタバレなし、ネタバレありパートに分けて紹介していくので、まだ読んでいない人も、読了済みの方もぜひご覧ください!


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朝井リョウ 著『どうしても生きてる』 あらすじ

歩き続けるのは前に進みたいからではない。
ただ止まれないから。それだけなのに。

デビューから10年 。
進化し続ける著者の最高到達点。

https://www.gentosha.co.jp/book/b12683.html

こんな人におすすめ!


  • 純文に浸りたい
  • メッセージを解釈するのが好き
  • 生きたくて生きてるわけじゃない

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感想・評価【ネタバレなし】

どんな本か?

本書はかなり純文要素が濃くて、かみ砕くのが難しい部類に入ると思います。

だから、普段からあまり本を読まない人にはおすすめしづらい一冊ですね。

一文が長くて、その上言っていることがストレートじゃなかったりするから、読むのに時間はかかります。

ただ逆に言えば、その分読み応えがあるということで、読み終わった後の達成感や開放感はかなりありました!

本書を読んで何を感じるのかが、そのまま自らの人生を見つめることに繋がっていくと思います。

まあ、何たって深い。

深すぎるだろっていうくらい凝縮された何かが小説の中に詰まっています。

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どこが面白いのか?

本書のどこが面白いのか。要素を挙げると、

  • 純文的な語り口
  • 重めな雰囲気
  • テーマの深さ
  • 登場人物への共感
  • 特徴的なようでいて、どこにでもいそうなキャラ

このあたりですかね。

とにかくこの作品が描くのは、「選べなかった人たちの人生」であり、「本当の気持ちをどこにも言えない人たちの人生」です。

「何で自分はこうなったのだろう?こんなはずじゃなかったのに…」

なんて思いを心の片隅にでも持っているなら、本書に共感できるところがたくさんあると思います。

逆に、「今人生ハッピーだぜ!」っていう人も、

本書を読んで、どうしたらこの人たちは幸せになれるのだろうかと考えることが、自分の人生を見つめ直すことに繋がっていくと思います。

噛みしめながら、考えながら、何かを味わいたいという人に、『どうしても生きてる』ほどうってつけの小説はないです。

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感想・考察【ネタバレあり】

ここからは一話ずつ追っていきましょう!

ネタバレありで書いていくので、詳しいあらすじを知りたい人もご覧ください!

『健やかな論理』

僕が個人的に一番好きなお話です。

最後電車のホームでふと死にたくなった彼女が、ふと生きたくなるところが好きです。

このお話は、死の直前のSNSの投稿を収集するという風変わりな趣味を持った女性を描いています。

死にたいから死ぬわけじゃない、という健やかな論理から外れた答えを集める彼女は、

きっと人よりも本質を見ていて、そのせいで生きづらさを感じている。

僕はこの感覚がものすごく分かるんですけど、同じように感じる人って多分結構いますよね。

『流転』

一番哀しくなるようなお話だったと思います。

一言で言うと、「豊川が、色々なものを裏切って逃げ続けてきたお話」

嘘のない漫画を書こうと誓った瀬古、妻の奈央子、独立を誘ってくれた明石を、それぞれ裏切ってきた男の名が、豊川。

『流転』の面白いところが、アップダウンの激しさと、これが現実だといわんばかりの救いのなさ。

親友と共に漫画を書き続けた某ジャンプ漫画のような日々があったのに、今の現実は対照的で、

絵を描き続けた瀬古と、裏切った豊川の現在が明暗のように描かれていることも、哀しい印象を与えます。

結局瀬古と再会することもなく、人生に選択肢はないと歩き出す豊川の姿に一体何を思えばいいのか。

哀しすぎるけど、現実でありそうな物語だな、と感じました。

天才になれる人間となれない人間の違いも感じましたね。

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『七分二十四秒目へ』

このお話はかなり今っぽいですね。

この生きにくい世の中で、何の学びもないYouTuberの大食い動画が救いになったりするというお話。

派遣をクビになったOLがYouTuberの動画を見ながらラーメンを爆食いしてるなんて、

なんだか自分にはどうしようもできないことで自分には関係ないのに、自分のことのように哀しくなりました。

僕自身もYouTube結構見ますけど、『七分二十四秒目へ』を読んでなんか納得しましたね。

生きていく上で何の役にも立たないような動画が何でそんなにも再生されるのかってこと。

猫と戯れるだけ、大食いに挑戦するだけ、メントスコーラとかその最たるものですけど

そんな動画を楽しみにしている人がやっぱりたくさんいて、何でなのかって考えると、

現実では決して表にできない感情を、思いを、そこに重ねているからなのかもしれないですね。

そう考えると、YouTuberも人を救う職業と言えて、何だかすごい時代になったなって感じました笑

『風が吹いたとて』

このお話は一番マイルドでしたね。

日常を描いていた分一番リアルだったと言えるかも。

夫が会社の不正を強いられていることに気づきながらも、半径5メートル以内のやらなきゃいけないことで手一杯の妻。

見ない振りをし続けていても、ひょんなことでふと心に蘇ってくる。

そんな心情を“風が吹く”と表現していましたね。夫が全てを告白する時には、“突風”になってました。

間違っていることに気づいても、自分の身の回りのことを優先して、見ない振りをした経験がある人って結構いるんじゃないでしょうか。

僕は万引きやポイ捨てぐらいしかないですけど、もっと大きなものを抱えている人って日常の中にもいたりするんだなって感じました。

他人ごととは思えないリアル感がありましたね。

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『そんなの痛いに決まってる』

一番深く考えさせられました。

僕はまだ大学生なんで感覚的にはあまり分からないんですけど、言っていることは一番切実だなと思いました。

妻がどんどん仕事で輝いているのに、それと対照的なように転職に失敗した良太。

いつのまにか妻には勃たなくなり、40近いセフレとドライブに出掛けるように。

相手が自分より下だと実感できないと勃起しないって男の根源的なものの一つなんですかね。

心をそのままさらけ出せる相手って時が経てば経つほどに、貴重になっていくものなのかもしれません。

『籤』

この話はかなり重かったですねー。

二百九十分の一の確率で障害を持った子供を妊娠していたことを知る女性。

彼女はそれだけじゃなく、今までの人生でたくさんの外れ籤を引いてきて。

双子ならではの女という性別によるコンプレックス、母親の死別、兄たちに家事当番を押しつけられたこと。

それでも、最後は前を向くような描写で終わるんですよね。

受け入れる、受け入れないを選べるわけじゃないけど、それでも進むしかない、というある種の開き直りのような前向きさではあったんですけど

たとえ外れ籤でも、籤を繋げていって、いつか蝶々結びができるようにっていう考え方は好きでしたね。

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まとめ

ここまで朝井リョウ著『どうしても生きてる』の書評をしてきましたがいかがだったでしょうか?

自分の頭で考えながら、咀嚼して自分の糧になるような本を読みたいって人に、これ以上ないという一冊です!

現代の純文の響きを味わってみてはいかがでしょうか?

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