【感想】第162回芥川賞『背高泡立草』と直木賞『熱源』、初心者が読むならどっち?【おすすめ徹底比較】

【感想】第162回芥川賞『背高泡立草』と直木賞『熱源』、初心者が読むならどっち?【おすすめ徹底比較】 特集

芥川賞とか直木賞とか楽しめる人間になりたいけど、難しそうだし、買っても読み切れるのか心配……

そもそも芥川賞と直木賞の違いがわからないから、どっちを読もうか迷っちゃって結局買わないのよね……

→そんな悩みに答えます。

本記事では「芥川賞・直木賞に手を伸ばしてみたい方」に向けて、

  • 芥川賞・直木賞の違いとは何か?
  • 第162回受賞作『熱源』・『背高泡立草』のどちらがおすすめか?

という「芥川賞・直木賞の入門知識」を書いていきます。

年間300冊の本を読む本好きが、両方実際に読んだ感想を交えながら解説!

芥川賞・直木賞を毎年の楽しみにしていきましょう!!

Soneyu
Soneyu

今回の受賞作はテーマが似てたから、特徴の違いがはっきり出て面白かった!

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芥川賞・直木賞とは?

まずは芥川賞・直木賞を楽しむために、概略をサッとまとめます。

芥川賞・直木賞の特徴・3つのポイント

芥川賞とは、

  • 1935年に創設
  • 新人・無名作家を対象
  • ジャンルは、短編・中編の純文学
  • 受賞者には懐中時計と100万円

直木賞とは、

  • 1935年に創設
  • 新人・無名・中堅作家を対象
  • ジャンルは、大衆文学
  • 受賞者には懐中時計と100万円

1.芥川賞・直木賞は同時に創設されたもの

芥川賞・直木賞は1935年に、芥川龍之介の業績を記念して友人の菊池寛が同時に創設したもの。

上半期と下半期の年に二回発表され、今回で162回目を迎えます。

Soneyu
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だから、芥川賞・直木賞はセットで発表されるんです。

2.芥川賞は短めの純文学、直木賞は大衆文学

決定的な違いとなるのが、その対象ジャンル。

芥川賞は、短編・中編の純文学

直木賞は、時代小説や人情小説などの大衆文学

短めの小説が読みたい方、文章に深みのある小説が好きという方は、芥川賞を!

物語の起伏がしっかりあってストーリーを楽しみたいという方は、直木賞がおすすめ!!

3.芥川賞は無名・新人、直木賞は無名・新人+中堅

直木賞の対象である大衆文学は、純文学よりも「作家として食っていく筆力があるか」が重視されます。

そのため、直木賞では中堅作家がノミネート候補に加わるようになりました。

最近ではベテランが受賞して辞退したり、「遅すぎた受賞」と揶揄されたりします。

池井戸潤や辻村深月など、直木賞の受賞作家は有名な人が多い。

なので、自分の知っている作家や、好きな作家がノミネートされる可能性も直木賞はありますよ。

芥川賞・直木賞過去のおすすめ作品

「芥川賞・直木賞何から手を付ければいいかわからない」という方は、次の4冊のどれかから始めてみてください!!

どれも死ぬほど面白い名作なのでおすすめです。

↓第153回芥川賞受賞作『火花』、第155回受賞作『コンビニ人間』

どちらも話題作にしてヒット作。感想を語り合える人が身近にいるかも。

↓第145回直木賞受賞作『下町ロケット』、第156回受賞作『蜜蜂と遠雷』

どちらも映像化されているので、見比べる楽しさもあります。

初心者が読むなら、おすすめは『熱源』です

第162回芥川賞・直木賞どっちから読もうか迷っていて、特に好みがないのなら、

まず、『熱源』から読んでみてください。

『背高泡立草』は短いですけど、難易度が高いです。

『背高泡立草』・『熱源』特徴比較

まずは、一覧です。

『背高泡立草』

  • 143ページ
  • 一文が長い
  • 風景の描写が薄い
  • テーマが捉えにくい
  • 芸術的に心象を描く純文学

『熱源』

  • 426ページ
  • 文章のリズムが取りやすい
  • 景色の描写が多く、絵が浮かびやすい
  • テーマが一貫している
  • ストーリーで人を語る歴史小説

『背高泡立草』

『背高泡立草』の難易度の高さは、芸術性が強すぎるところにあります。

人や景色の描写があまりないため、頭に具体的なイメージが浮かびづらいのが純文学の魅力でもあり、難点でもあります。

読んでいて疲れてしまう危険性が高いです。

『熱源』

それに対し、『熱源』は一貫したテーマの上に起伏のあるストーリーがのっている感じですね。

長いんですけど、そこさえ突破すれば初心者でもドはまりして楽しめる作品です。

ここからは、より詳しく内容を知りたいという人に向けて、感想を書いていきたいと思います。

【感想】第162回直木賞 古川真人 著『背高泡立草』

『背高泡立草』

  • 143ページ
  • 一文が長い
  • 風景の描写が薄い
  • テーマが捉えにくい
  • 芸術的に心象を描く純文学

嘘だろってくらい退屈な序盤

正直、最初は退屈でした。

マジでイメージが浮かばない。

会話とキャラの思考メインで語られるから、キャラの顔とか周りの風景とかが見えてこなくて。

しかも、序盤はテーマがわからないから、「こういうのは映画でやってくれよ」っていうのが第一印象。

けど、これが、最後まで読むと、その味わいが180度変わってくるんです。

「ただの納屋」を描く純文学の魅力

純文学ってこうだよなという納得感と味わい深さがたまりませんでした。

内容は、「納屋の草刈りをする一家と、その家を巡るいくつかの小話」

ただそれだけです。

それだけ、が魅力です。

『背高泡立草』は、感じて楽しむ割合が強くて、理屈的な面白さとして語れない節があります。

純文学とは、往々にしてそうなのかもしれませんが、特に強くそう感じましたね。

やっぱ好きです、純文学って思える小説。

オチの一文が秀逸だった

芸術性が強いとはいいましたが、よくよく分析してみると、お話の構造がよくまとまって論理的に組み立てられているのもわかります。

挟まれる小話はそれぞれにテーマがあって見せ方も工夫されているし、オチの最後の一文なんかは最高だったと思います。

ストンとくる余韻が味わえる一冊ですね。

【感想】第162回直木賞 川越宗一 著『熱源』

『熱源』

  • 426ページ
  • 文章のリズムが取りやすい
  • 景色の描写が多く、絵が浮かびやすい
  • テーマが一貫している
  • ストーリーで“人”を語る歴史小説

「無駄なシーンがひとつたりとも存在しないすごさ」

すべてのシーンに意味があると思わされるほど、ストーリーの構成がうまいし、濃厚。

どのページとっても迫力があって、著者の伝えたいことがビンビンに伝わってくる一作です。

文章で魅せる

なにより、文章がうまい

樺太の壮大な風景がブワッと頭に広がって、質感のあるシーンが手に取るように浮かんできます。

構成は相当練り込まれているし、文章も相当作り込まれているのを、肌で感じる小説です。

強烈なメッセージ性

内容を一言でいえば、「故郷とは何か?」の答えそのものをストーリーにした感じ。

アイヌとポーランド、故郷を奪われた二人の男の学生の頃から大人までをズバッと描いています。

小説としての卓越した文章の魅力を感じられる一方で、ストーリーの見せ方もまた卓越している。

“故郷に対する人の思い”がこれでもかというほどに、胸に深く突き刺さってくる、強烈なメッセージ性があります。

歴史小説ならではの魅力

そして、一番の特徴は、歴史小説であること。

読み終えた後は、ウィキペディアにいって、これも史実なのかと目を見張ること間違いなしです。

史実である分、作品の重みがまた増すんですよね。

金田一京助や大隈重信も登場するのが、歴史小説ならではの面白ポイントです。

【補足】どっちも読むと、さらに面白い

『熱源』読み終わって、まだ余裕がある人は、ぜひともどっちも読んでほしい。

普通に『背高泡立草』も面白いからというのもありますけど、

読み比べるともっと面白いんです。

これは偶然でしょうが、両方の作品とも、“故郷とそこに生きる人々”をテーマしています。

だから、

「純文学と大衆文学だと、こういう描き方の違いが出るのか」とか、

「そもそも普通の一家とアイヌっていう題材の違いもそこに起因するのかな」とかって。

純文学と大衆文学それぞれの特徴を体感するという意味でも、この第162回芥川賞・直木賞受賞作品をどっちも読むのがおすすめです。

まとめ

ここまでのポイントをまとめます。

  • 芥川賞は短めの純文学、直木賞は大衆文学
  • 直木賞は有名作家が多い
  • 初心者は『熱源』がおすすめ
  • 余裕があれば、どっちも読むと面白い

ぜひ、この第162回をきっかけに芥川賞・直木賞を毎年の楽しみにしてみてください!

正確には、“毎半年”のですね(笑)

そして、これからも芥川賞・直木賞が決定される度に、こうして記事を書いていくのでチェックもお願いします!

あと、時間がなくて本読んでいる時間が取れないという方は、Audibleがおすすめです。

ナレーターの朗読を聞くだけなので、スキマ時間にもぴったりです。

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